いきなり自分年金として引退までに4,000万円の資金を作る!
という目標を立ててみたものの、何をどうしたら良いのかはよくわかりませんでした。
幸い前職では企業型確定拠出年金というものをやっていて、あまり深く考えず適当に選んだ投資信託を購入していました。
ところが、調べてみると確定型拠出年金は長期間で資産を作るには(ただ銀行に貯金するよりは)優れている制度だったのです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)の説明と、どのように始めるのか、どんな投資をすればよいのかまとめていきます。
確定拠出年金とは?
いきなり確定拠出年金と言われてもよくわからないかもしれません。
確定拠出年金(DC = Defined Contribution Plan)とは、60歳まで毎月きまった金額、例えば1万円などを自分で選んだ投資先に積立投資していく制度です。
さらに積み立てた金額すべてが所得控除され、利益が出た場合非課税、積立資産の受取時には所得控除の対象となる優遇処置があります。
確定拠出年金 = 毎月きまった金額を自分で選んだ投資先に積立投資
3つの税制の優遇処置がある
・積み立てた金額すべてが所得控除 = 所得税や住民税が減る
・利益が出た場合非課税 = 通常の株取引では利益に対して約20%課税
・積立資産の受取時には所得控除の対象 = 受け取るときに課税が軽減される(ただしその時の税制次第の面も)
投資というとレオナルド・ディカプリオ主演のウルフ・オブ・ウォールストリートのように、頭のネジが外れているようなヤバいギャンブラーのような人たちがひたすら電話をかけまくって、証券会社のフロアーで乱痴気騒ぎをする、とにかくあまり関わってはいけない世界なのでは?と考えてしまう方もいるかもしれません。
たしかに、投資にはそのような極端な世界もあります。ただし、確定拠出年金の投資は制度としてそこまで極端な投資を実行することはできなくなっています。
確定拠出年金の投資は、頻繁に売ったり買ったりすることなく、一度設定した積立額や投資先に地道にコツコツ積み立てていくタイプの投資になります。(積立額や投資先は変更することができますが、普段は積み立てていることすら忘れてしまっているくらいの方が良いくらいでしょう)
なぜ確定拠出年金を使うのか?
確定拠出年金は毎月きまった金額、例えば1万円などを自分で選んだ投資先に積立投資していく制度と説明しました。
自分で投資先を選ぶというのが重要で、投資先によっては投資金額より増える場合もあれば減ってしまう場合もあります。
そう聞くと、じゃあ減ることがない銀行の積立貯金=元本確保型の投資が良いのではないか?と感じてしまうかもしれません。減ってしまうような危険に自分の虎の子の貯金を晒したくない!というのは理解できる考え方です。
実際、そのような人のために確定拠出年金の投資先として元本が確保された積立貯金を選択することもできます。
ただし、元本保証型の積立貯金では増えません。どう頑張ってもほぼ増えません。
元本確保型では増えない
なぜか?それは利率です。
たとえば、みずほ銀行の確定拠出年金で投資先として選べる「みずほDC定期預金(1年)」の利率を見てみましょう。
2020年9月の時点で適用金利は0.002%です。最も高かった時でも2010年の0.040%です。
仮に高い方、0.04%の利率で2万円を30年間積み立てたとしましょう。複利で計算したとしても30年後に貯まるのは720万円+利子43,316円=7,243,316です。
(積立計算:年利0.04%, 30年, 毎月2万円, 年複利, 非課税にて計算)
30年後に元本720万円と利子として43,316円の利益が手元に残る計算になります。30年間の実質利率は0.602%です。
これでは自分の目標老後資金4,000万円はおろか老後に必要とされる2,000万円にも届きません。
日本のバブル時代には瞬間最高で6%程度の利率となった時も有ったのですが、日本には二度とこのような好景気は訪れないでしょうし、あったとしても瞬間最大風速的な利率でしかありません。
むしろ目減りする可能性も
物価上昇の結果、お金の価値が減って買えるものが少なくなってしまう!!
物価の動きを把握するために国が公表している指数として、消費者物価指数(CPI)があります。
この消費者物価指数について、1990年からの2019年の30年で毎年増減があったものの指数が何%変化したか見てみましょう。
1990年 -> 2019年 +6.8%
(消費税調整済み指数(全国) 1990年1月~、持ち家の帰属家賃を除く総合)
30年間で平均して毎年0.22%ずつ物価は上がっていることになります。
ここで先程の0.04%の利率で2万円を30年間積み立てた結果を考えてみてください。
元本確保型の積立預金は年利0.04%で増えていき、30年後に実質利回り0.602%となります。物価は年利0.22%で増えていき、30年後に6.8%になります。
今の720万円
720 x 0.602% + 720 = 約724万円
30年後の720万円分の商品の価値
720 x 6.8% +720 = 約769万円
769 – 724 = 45万円分足りない。
30年後には720万円は約724万円に増えているのですが、物価が上昇することにより現在720万円分の物は30年後には45万円足して、769万円出さないと購入できないということになります。
別の考え方をすると、724万円に増えたとしてもその価値は現在の価値としては約675万円に減ってしまうということです。
日銀の物価上昇目標は年2%
日本銀行が今後、日本の物価がどのように変化したらよいかと考えているかというと、毎年前年比2%上昇してほしいと考えています。
日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するという約束をしています。」
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/index.htm/
現在のところ、2%の物価上昇は実現していませんが、最低限のレベルとしてこれを上回る程度は資産が増えてもらわないと、とても老後の資金を準備することはできないということになります。
確定拠出年金は税制優遇がすごい
長期の積立投資を促すために、確定拠出年金には税制優遇措置が設けられています。
支払わなければならない所得税と住民税が減る
まず、積み立てるために支払った掛け金は全額所得控除として計算されます。年末調整や確定申告で所得税や住民税が減ることになります。
一例として年収500万円、40歳、掛け金23,000円でiDeCoに加入した場合、控除の関係などで変わってくることはあるものの、それだけでおおよそ年間55,200円支払う税金を少なくすることができるようになります。(かんたん税制優遇シミュレーション)
もしこの優遇政策がこのまま続くとしたら、40歳から60歳までの積立期間で合計110万円あまりの所得税、住民税の優遇を受けることができます。
税制優遇で浮いた所得税と住民税をさらにNISAで投資すれば自分年金の充実が期待できそうです。
利益が出た場合非課税
取らぬ狸の皮算用とはいえ、長期の積立投資では結果として利益が出る可能性が高くなります。
現在の税制では株式の利益には約20%の所得税が発生するのですが、確定拠出年金での利益にはこの所得税が無税となります。
23,000円を30年間年利2%で運用すると300万円近くの利益が発生します。通常であれば60万円近くの税金を収めなければならないところが不要となるのは大きいです。
積立資産の受取時には所得控除
各種控除が適用されるとされていますが、実際に受け取るときには制度が変わっているかもしれません。
ただし、確定拠出年金を使用しなかった場合よりは何らかの優遇が適用されると考えてよいでしょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)を自分年金の中核として2%で運用
2%の利率で2万円を30年間積み立てればどのような結果となるでしょう?
2%の利率で2万円を30年間積み立てたとすると、30年後には720万円+利子2,641,707円=約983万円になります。
日銀の思惑通りに物価が上がらないにしても、自分年金の一部としては年利2%以上は必要ではないかと考えます。
いろいろ条件があるのですが、私のような企業年金の無い会社員がiDeCo(個人型確定拠出年金)で一ヶ月に払うことができる金額は23,000円となります。
23,000円を30年間年利2%で運用することができれば、30年後には元本828万円を含めて約1,132万円となり、老後2000万円問題の約半分が片付くことになります。
投資でどれくらいの利率を求めるかは人それぞれなのですが、年利2%という結果(リターン)はそれほど無理な値では無いと言われています。
まず、iDeCo(個人型確定拠出年金)を自分年金の中核として準備することは、老後資金の準備として必須なのではないでしょうか。
次回は確定拠出年金の企業型と個人型について、さらに確定給付企業年金との差をまとめます。
iDeCoやNISAで投資をするならネット証券がおすすめです。
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