グローバル国際株式ファンドの構成銘柄は時代で変化しているのか?

iDeCo

こんにちは、老後の自分年金(目標 4,000 万円)を作るために、個人型確定拠出年金(iDeCo)とつみたて NISA をあわせた投資をしている外資系中小企業勤務の山丘はなお(40 代)です。

前回は、SBI証券のiDeCoで購入できるグローバル国際株式ファンドでも、同じアセットクラスの株式投資信託ながら内容がかなり異なっている事がわかりました。では、年月がすぎるとファンドの構成銘柄にはどのような変化が出てくるでしょうか?

時価総額荷重型インデックス型投資信託の構成銘柄

時価総額荷重型インデックス型投資信託は、TOPIX や MSCI コクサイ等の時価総額荷重型指標と同じ値動きとなるように株式や ETF、債権などの金融商品を購入して運用されています。

株式相場や債券相場では、年とともに各社、各銘柄の時価総額が変化し、指標内で占める割合の浮き沈みが当然発生します

私が積み立てているDCニッセイ外国株式インデックス(MSCI コクサイを参考指標)の構成銘柄が、年月と共にどのように変化しているのか調べてみました。

DCニッセイ外国株式インデックスについて

DCニッセイ外国株式インデックスは、低コストなインデックス型のグローバル国際株式ファンドで、MSCI コクサイ・インデックスという指標と同じ値動きとなるように投資されています。

ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックスの運用レポート 2020/9 版によると、2020 年 9 月末時点での構成銘柄は以下のとおりでした。

銘柄名割合(%)
アップル4.66
マイクロソフト3.52
アマゾン3.14
フェイスブック1.48
アルファベット(Google)C1.06
アルファベット(Google)A1.03
ジョンソンエンドジョンソン0.91
ネスレ0.84
P&G0.80
ビザ0.79

銘柄の多くはアメリカの企業で、業種は いわゆる GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)を筆頭に、IT・テクノロジー系企業が多くを占めています。これらの企業への投資割合は年とともに変化をしているのでしょうか?

運用報告書から見る構成銘柄の変化

ニッセイ-DCニッセイ外国株式インデックスの報告書から、交付運用報告書に記載されている構成銘柄を年ごとに抜き出して並べてみました。

DCニッセイ外国株式インデックスは 2015 年 3 月 31 日に設定された比較的新しい投資信託です。これまでに 5 回、交付運用報告書が作成されました。

2020 年については、2020 年 9 月 30 日の月間レポートを参照しています。

第 1 期(2015 年)割合第 2 期(2016 年)割合第 3 期(2017 年)割合第 4 期(2018 年)割合第 5 期(2019 年)割合2020 年 9 月割合
1アップル2.2%アップル2.0%アップル2.4%アップル2.5%アップル3.0%アップル4.7%
2マイクロソフト1.3%マイクロソフト1.5%マイクロソフト1.7%マイクロソフト2.1%マイクロソフト2.7%マイクロソフト3.5%
3エクソンモービル1.1%エクソンモービル1.2%アマゾン1.3%アマゾン1.7%アマゾン1.8%アマゾン3.1%
4GE1.0%ジョンソンエンドジョンソン1.0%FACEBOOK1.2%ジョンソンエンドジョンソン1.1%FACEBOOK1.2%FACEBOOK1.5%
5ジョンソンエンドジョンソン0.9%アマゾン1.0%ジョンソンエンドジョンソン1.0%JP モルガン1.0%JP モルガン1.0%アルファベット(Google)C1.1%
6ウェルズ・ファーゴ0.9%JP モルガン0.9%JP モルガン1.0%エクソンモービル0.9%アルファベット(Google)C1.0%アルファベット(Google)A1.0%
7アマゾン0.8%GE0.9%エクソンモービル0.9%アルファベット(Google)C0.9%アルファベット(Google)A1.0%ジョンソンエンドジョンソン0.9%
8JP モルガン0.8%FACEBOOK0.9%アルファベット(Google)C0.9%FACEBOOK0.9%ジョンソンエンドジョンソン0.9%ネスレ0.8%
9ネスレ0.8%ウェルズ・ファーゴ0.8%アルファベット(Google)A0.8%アルファベット(Google)A0.8%ネスレ0.8%P&G0.8%
10アルファベット(Google)0.7%アルファベット(Google)0.8%ネスレ0.7%バークシャーハサウェイ0.8%ビザ0.8%ビザ0.8%
銘柄数 1,315銘柄数 1,304銘柄数 1,318銘柄数 1,301銘柄数 1,318銘柄数 1,277

ここ 5 年間で組み込み銘柄の 1 位と 2 位は、アップル&マイクロソフトと変わっていないのですが、それ以下の順位は頻繁に入れ替わっています。

電気メーカー、エネルギー、金融業の衰退

2015 年の構成銘柄を見ると、IT 系に混じって GE(ゼネラルエレクトリック) = 電気メーカー、エクソンモービル=エネルギー、ウェルズ・ファーゴ=金融といった従来型の企業も上位にランクインしていました。

これらの企業は 2016 年、2017 年と年を追う毎に順位を下げるか、ランク外に消えてしまいます。GE は業績不振のため株価が暴落し、事業の切り売り、再生の途中にあります。

エクソンモービルは原油安により株価は高値から半分以下となりました。また、ウェルズ・ファーゴは口座水増し、不正営業などが続き赤字、減配発表で沈んでいきました。

IT 系企業の隆盛

電気メーカー、エネルギー、金融業とは対象に勢いのあるのが IT 系の企業です。2015 年と 2020 年の最新の組入銘柄では、いわゆる GAFAM(Google Apple Facebook Amazon Microsoft)の組入割合がほぼ倍以上となっています。

特に新型コロナ以降で急速に IT 系の時価総額が上昇したため、構成上位銘柄の入れ替わりが進んでいるようです。

安定している食品・生活用品

構成上位銘柄に常に存在し続けているのが、ネスレ = 食品、ジョンソンエンドジョンソン = 生活用品、P&G = 生活用品といった銘柄は安定してランクインしています。

やはり、誰でも習慣となってしまったキットカットやコーヒーをやめることや、伸び続けるひげを剃らなかったりという事は難しいということでしょう。

基準価格は上下が有るものの構成銘柄を入れ替えつつ増えている

投資信託の値段である基準価格が年ごとにどのように変化しているか見てみます。
第 6 期(2020 年)については、2020/9/30 時点の情報になります。

基準価格騰落率
第 1 期(2015 年)10,170
第 2 期(2016 年)9,362-7.9%
第 3 期(2017 年)11,54223.3%
第 4 期(2018 年)11,7451.8%
第 5 期(2019 年)13,19012.3%
第 6 期(2020/9/30 時点)13,5122.4%
平均6.4%

平均して 6.4%ずつ資産が増えていっていると言うことになるのですが、ベンチマークとなる指数の上下とともに、構成銘柄が自動的に入れ替わっていることになります。各銘柄の浮き沈み、流行り廃りに合わせて投資信託内で自動的に構成銘柄を入れ替えてくれている事がわかります。

もし銘柄の売り買いが行われなかった場合、この投資信託の基準価格はベンチマークとしている MSCI コクサイ・インデックスからはかけ離れていってしまうでしょう。

時価総額荷重型インデックス型投資信託ではセクターローテーションも自動対応

株式市場では、ある期間毎に人気、不人気の銘柄が入れ替わる事があります。これをセクターローテーションと言い、景気の状況によりハイテク系の会社が買われたり、金融系の会社が買われたり、はたまた、食品や生活必需品の会社が買われたりという大きな流れがあります。

個別の株式に投資していた場合、自分で大きな流れに対して持ち株のローテーションを行わなければ、ベンチマーク以下の成績となってしまいます。

しかし、時価総額荷重型インデックス型の投資信託の良いところは、とにかくベンチマークに追従するように売り買いをしてくれる = 個別銘柄の人気不人気、元気の良い業界、不況の業界を気にする必要がない = 放ったらかしで OK。というところにつながってきます。

さらに言ってしまえば、構成銘柄が時価総額で決まってくるということは、現在およそ 6 割を占めているアメリカ株が衰退して、別の国が発展したとしても自動的にローテーションが行われることを意味します。ただし、MSCI コクサイには新興国株式が入っていないので、中国などがアメリカに変わって上位に来た場合は、現在私が積み立てているDCニッセイ外国株式インデックスでは対応できません(そのようなことは無いと私は考えていますが)。

だれも未来の好業績銘柄を見通すことは出来ません。なので、世界全体の株式に広く投資して、少しづつでも世界全体が発展していくことに掛けるというのが、現時点では自分年金を作るためには一番可能性が高い手法と考えます。

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