こんにちは、老後の自分年金(目標 4,000 万円)を作るために、まず個人型確定拠出年金(iDeCo)を中核に据えて積立投資をしている外資系中小企業勤務の山丘はなお(40 代)です。
前回は確定拠出年金で投資できる商品の性質について書きました。
前回のポイントをまとめます。
- 掛け金の投資先は自分で選ぶ
- 投資対象の性質でアセットクラスに分かれる
- 株式は+/-の幅が大きい。結果として平均はプラスが多め
- 債権は+/-の幅が小さい。結果として平均は少なめのプラス
- REIT は+/-の幅が大きい。地域別の差が大きめ
- コモディティは+/-の幅が大きい。平均は少なめのプラス
今回は、確定拠出年金で投資する金融商品の選び方をいくつかのパターンでまとめます。
今回のポイント
どの金融商品を選ぶにしても投資期間は 20 年以上は欲しい
結局何を投資先として選ぶか?
投資は各人が置かれた環境が異なるため、「これさえやれば」という回答はありえません。
ただし、確定拠出年金でどの金融商品を購入するにしても共通して言えることは、
毎年必要となる費用ができるだけ低く、20 年など長期に渡って投資することである程度のリターンが得られる。
ような商品を選ぶということです。
いくつかのサンプルケースで私だったらこの投資商品を選ぶ。という例を上げてみます。
私の場合 (企業型確定拠出年金から 200 万円引き継ぎ、iDeCo + NISA + 個別株投資で 20 年の投資期間が取れる)
私の場合、企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に年金資金を移したとき、iDeCo では
一本に絞って投資をしています。
その他にも NISA や個別株への投資もしているので、確定拠出年金ではシンプルにこれだけです。積立を開始した際には SBI 証券ではこれ以上手数料の安い投資信託を選ぶことが出来なかったのですが、今ではもっと手数料の安い物も選べます。
DC ニッセイ外国株式インデックスの特徴
- 海外の株式(米国 69.7%、英国 4.9%、フランス 3.6%、スイス 3.4% カナダ 3.3% 等)
- インデックス型
- 購入手数料なし
- 解約手数料なし
- 運用管理費(信託報酬) 0.154% 程度
- 監査費用 0.011%
2015 年 6 月~ 2020 年 5 月の 5 年間にこの投資信託に投資したとすると・・・
- 最大+32.3%増えた年があった
- 最大-18.9%減った年があった
- 平均で見ると 5 年間では年利+6.6%だった
という成績が書かれています。DC ニッセイ外国株式インデックス 目論見書 2020.8.21
取らぬ狸の皮算用とは言え、仮にこの成績が続いていくとして積立で複利計算をすると・・・
- 20 年、毎月 23,000 円積み立て、企業型確定拠出年金から 200 万円年金資金移動
- 元本 752 万
- 利息 1,167 万
- 合計 1,869 万円
- 積立最後に暴落し-18.9%となった場合、約 1,515 万円
企業型確定拠出年金からの引き継ぎがあるため、投資期間が 20 年間の場合でもそれなりの老後資金の金額となる計算です。これだけでは自分年金の目標 4,000 万円には届かないため、さらに一工夫必要となります。
iDeCo 一本足打法で 30 年以上投資期間が取れる
個人型確定拠出年金(iDeCo)しかやらない。あとは公的年金だけ。でも投資期間は 30 年以上確保することができる。という場合、私ならインデックス型で信託報酬(手数料)も安く、日本も含めて全世界の株式に投資するタイプの商品を選びます。
SBI 証券ですと
SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド
にするでしょう。
SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンドの特徴
- 国内・海外の株式(米国 55%、米国以外の先進国 35%、新興国 10%)
- インデックス型
- 購入手数料なし
- 解約手数料なし
- 運用管理費(信託報酬) 0.1102% 程度
- 監査費用 max 0.02%
2018 年 11 月から販売されている商品のため、それ以前の値は参考にするインデックスの結果となっていますが、2015 年 6 月~ 2020 年 5 月の 5 年間にこの投資信託に投資したとすると・・・
- 最大+33.4%増えた年があった
- 最大-19.7%減った年があった
- 平均で見ると 5 年間では年利+6.0%だった
という成績が書かれています。SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンド目論見書 2020.8.13
ここ最近の株高が有った 5 年間の成績とは言え、年利+6.0%は優秀です。
仮にこの成績が続いていくとして積立で複利計算をすると・・・
- 30 年、毎月 23,000 円積み立て
- 元本 828 万
- 利息 1,425 万
- 合計 2,253 万円
- 積立最後に暴落し-19.7%となった場合、約 1,800 万円
これだけのリターンが理論上得られるとすると、引退直前に価格が-20%暴落したとしても、合計の資産は 1,800 万円近くは残る計算になります。何も考えず 30 年積み立てることができれば、確定拠出年金だけでそれなりの自分年金を作ることができると考えられます。
似たような商品を選ぶ際に注意点を上げてみます。
- 投資先として日本を除く場合と、日本を含める場合が有る
- 投資先の割合が極度に日本に偏っていて、オマケ的に世界の株式にも投資という物がある
- 手数料はなるべく安く
- 債権や REIT はこの際無視
そうは言っても債権や REIT とか一応買っておきたい。という人は次のパターンはどうでしょうか?
iDeCo NISA 併用で 30 年以上投資期間が取れる
株式だけではなく債権や REIT とか一応買っておきたい。世界の経済発展にまるごと投資したい。という場合は確定拠出年金では
を選ぶと良いかもしれません。世界中の様々な投資対象に投資するので、世界が滅亡しない限りはそれなりに資産が増えていくだろうと考えます。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランスの特徴
- 国内・海外の資産(国内株式 12.5%、先進国株式 12.5%、新興国株式 12.5%、国内債券 12.5%、先進国債券 12.5%、新興国債券 12.5%、国内 REIT 12.5%、先進国 REIT 12.5%)
- インデックス型
- 購入手数料なし
- 解約手数料なし
- 運用管理費(信託報酬) 0.154% 以内
- 監査費用については必要(条件により異なるため明記なし)
2015 年 5 月~ 2020 年 4 月にこの投資信託にに投資したとすると・・・
- 最大+20.9%増えた年があった
- 最大-10.2%減った年があった
- 平均で見ると 5 年間では年利+3.9%だった
という成績が書かれています。三菱UFJ国際-eMAXIS Slim バランス 2020.7.23。割と行って来いだったような。でも年利+3.9%はかなり良い値でしょう。
仮にこの成績が続いていくとして積立で複利計算をすると・・・
- 30 年、毎月 23,000 円積み立て
- 元本 828 万
- 利息 726 万
- 合計 1,545 万円
- 積立最後に暴落し-10%となった場合、約 1,390 万円
投資資金を 8 等分するという投資信託のため、世界中のアセットクラスを時価総額で比較した際の割合を無視した形で投資することとなり、個人的には日本株や新興国株、REIT にかける割合はもう少し控えめにしたいと感じます(例えば、米国株式は時価総額では世界の 50%以上を占めていますが、日本株式は 9%以下です。)。
これ単体ではなく SBI-SBI・全世界株式インデックス・ファンドを 60%くらいと、このファンド 40%くらいとするか、NISA を併用して外国株式の割合を増やすことを検討します。
もう引退まで時間が 10 年しかない。でもなんとかしたい。
すこしギャンブルになってしまいそうです。なぜなら、10 年間という期間では、引退時に最も値上がりしたり、最も値下がりする上下のどこかに当たってしまう可能性が高くなるからです。
以前まとめた、2010 年 ~ 2019 年末までという 10 年という時間で見た際のアセットクラス毎の騰落をもう一度見てみましょう。
アセットクラス | 最大(%) | 最低(%) | 平均 |
---|---|---|---|
日本株 | +51.5% | -18.9% | +8.3% |
先進国株 | +29.2% | -7.8% | +11.1% |
新興国株 | +32.5% | -20/7% | +3.2% |
日本国債券 | +3.4% | -0.8% | +0.9% |
先進国債券 | +6.2% | -2.4% | +0.9% |
新興国債券 | +7.3% | -9.9% | 0.0% |
債権は+/-の幅が小さい。結果として平均は少なめのプラスと言えます。
そうなると債権でなるべくマイナスを避けつつ、もう少し株でリターンも狙いたい。しかも為替変動も注意して。という選び方が良いかもしれません。
そのような場合には、
を選ぶでしょう。
日興-DCインデックスバランス(株式40)の特徴
- 国内・海外の債権と株式(国内株式 30%、海外株式 10%、国内債券 45%、海外債券 10%、短期金融商品 5%)
- インデックス型
- 購入手数料なし
- 解約手数料なし
- 運用管理費(信託報酬) 0.154% 以内
- 監査費用については必要(条件により異なるため明記なし)
2015 年 6 月~ 2020 年 5 月にこの投資信託にに投資したとすると・・・
- 最大+13.4%増えた年があった
- 最大-6.3%減った年があった
- 平均で見ると 5 年間では年利+3.1%だった
という成績が書かれています。日興-DCインデックスバランス(株式40)2020.8.7
仮にこの成績が続いていくとして積立で複利計算をすると・・・
- 10 年、毎月 23,000 円積み立て
- 元本 276 万
- 利息 47 万
- 合計 323 万円
- 積立最後に暴落し-6.3%となった場合、約 302 万円
iDeCo だけで老後資金をまかなうことは割と難しい金額です。公的年金に加えて少しでも働き続けて生活費を捻出するしかなさそうです。
もう引退まで 5 年しかない
ここまで何もしていないとなると、定年後に働かず過ごすのは難しい。かもしれません。
確定拠出年金では元本保証型(定期預金)にするか、日興-DCインデックスバランス(株式40)にして、iDeCo の税制優遇措置により所得税と住民税をおさえつつ貯金に励み、引退後もなにか仕事をして NISA でリスクが低めの投資を続けて少しでも資産を増やす事を考えます。
まとめ
何はなくともまず iDeCo として、 6 回に渡り確定拠出年金についてまとめてきました。リスクとリターンや想定利回りは、もっと正確な表現が必要だったかもしれません。しかし、全体として確定拠出年金による長期投資は、銀行預金では実現できないリターンを得られることができる可能性が高く、老後の自分年金(目標 4,000 万円)の中核となる事ができる。と言えると感じました。やはり政府は
「もうこれ以上は公的な年金でみんなを養うことは無理だから、みなさん個人でがんばって老後資金を用意してね」
と考えているのだと私は考えます。
もしまだ確定拠出年金を初めていない方がいたら、とりあえず月に 1 万円からでも始めてみてはいかがでしょうか? 自分の収支を見直して可能であれば掛け金を増やすことが出来たら、30 年後にはそれなりの老後資金を貯められるでしょう。
「これさえやれば老後は全く安心」とは言えませんが、少なくとも積立貯金のみに頼るよりは安心の確率が高くなるはずです。
iDeCoやNISAで投資をするならネット証券がおすすめです。
コメント