こんにちは、老後の自分年金(目標 4,000 万円)を作るために、個人型確定拠出年金(iDeCo)とつみたて NISA をあわせた投資をしている中小企業勤務の山丘はなお(40 代)です。
シンガポールのDBS銀行はアジアの中でもかなり大きな規模の銀行で、さまざまな金融商品やサービスを提供してる銀行です。
このDBSが提供する、長期投資用の商品 digiPortfolio について調べてみました。
DBSについて
DBS銀行はシンガポール開発銀行 (Development Bank of Singapore) が2003年に名称及び組織を変更して誕生した銀行で、シンガポールに本部を置き東南アジアにおいてもっとも資産の多い銀行で、シンガポール、香港、マレーシア、台湾などに支店を持ち、各種金融サービスを提供しています。
DBS銀行はデジタル化を急速に進めていて、オンラインバンキングの口座では支店に出向く事なく各種金融サービスを利用する事ができるようになっています。
DBS銀行が提供する個人向けサービス
DBS銀行が提供する個人向けサービスを列挙すると
- 銀行口座、振り込み、ATMサービス
- クレジットカード、デビットカードサービス
- 保険サービス
- ローンサービス
- 投資サービス
基本的には日本の銀行が提供しているサービスとあまり変わりませんが、多くのサービスがオンラインでシームレスに完結できるようになっていて、日本の銀行が提供しているオンラインバンキングより完成度やユーザー体験が優れています。
DBS銀行の投資サービス
DBS銀行が提供している個人向け投資サービスには以下のような物があります。
サービス | 内容 |
Unit Trust | ユニットトラスト:投資信託の一種 |
Equities | 株式:DBS Vikers証券に口座を開いて取引する |
Foreign Currencies | 外貨預金:DBSの口座内にて外貨預金取引が可能 |
Fixed Income | 債券:国債や社債など |
digiPortfolio | ロボット+専門家によるETFの組み合わせ投資 |
digiPortfolioでの投資
digiPortfolioはDBS銀行が2019年から提供している投資サービスの一つで、複数のETFをロボットのアルゴリズムと、専門家の分析により運用される一任型の投資商品です。
既存のETFをリスクとリターンのバランスが多くの人に最適となるように設定し、手軽に低コストで世界中に広く投資することができるようにしている商品です。
自分でさまざまなETFを組み合わせて投資できれば、もっともコストを抑える事ができるかもしれません。しかし、ある程度投資に関する知識が必要とされ、経済状況に応じて適宜購入するETFの内容を組み替える(リバランス)する必要もあるでしょう。
全ての投資家がそのような面倒な事をしたいわけではありません。digitalPortfolioの紹介ページにもある通り、細かく市況を確認する必要なく、世界中に広く分散した投資を長期に渡って低コストで行えると宣伝されています。
digiPortfolioのタイプ
digiPortfolio には、Asia PortfolioとGlobal Portfolio の2つのタイプが用意されていて、それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
Asia Portfolio | Global Portfolio | |
通貨 | シンガポールドル | USドル |
投資対象 | アジアとシンガポール | 世界全体 |
投資ETF | シンガポールに上場 されているETF | 英国に上場 されているETF |
EIP/SIP | EIP (Exclude Investment Product) | SIP (Specified Investment Product) |
投資適正調査 | なし | 事前質問(CAR)にパスする必要あり |
投資単位 | 1,000 SGD から | 1,000 USD から |
目的 | 投資経験がなく、シンガポール中心で 安心して投資したい人向け | USDで投資したい、 世界に分散投資したい人 |
EIPとSIP
EIPとSIPという見慣れない単語が出てきました。
2008年の世界経済危機の後、シンガポールの金融管理局(Monetary Authority of Singapore)は、投資家保護のために投資商品を取り扱う業者に対して、金融商品をリスクや複雑さに応じて分類し、投資家へ事前の投資に関する質問 Customer Account Review (CAR) にパスするよう義務付けました。
SIP (Specified Investment Product)は、デリバティブのような、投資の内容が複雑で理解しづらい取引を含んでいる金融商品が分類されます。リスク嗜好が高めの投資家向け金融商品となり、投資に当たっては投資経験を問われる Customer Account Review (CAR) にパスする必要があります。
EIP (Exclude Investment Product)は、投資内容が比較的わかりやすい金融商品が分類されます。通常のETFはほぼEIPになりCARが必要ではありません。
digiPortfolioの手数料
digiPortfolioの手数料はAsia Portfolio / Global Portfolio 共に、年間投資額の0.75%となります。
- Asia Portfolio 1,000 SGD * 0.75% = 毎年 7.50 SGD
- Global Portfolio 1,000 USD * 0.75% = 毎年 7.50 USD
日本の一任型ロボアドバイザー系投資サービスの手数料を比較してみると、投資金額次第では日系のサービスの方が手数料が安くなる可能性があります。
サービス | 手数料の対象 | 手数料 | 備考 |
ウェルスナビ | 預かり資産 | 0.50 ~ 1.00 % | 3,000万円以上で0.5% |
THEO | 預かり資産 | 0.62 ~ 1.00 % | 預かり資産に応じて変動 |
ON COMPAS | 預かり資産 | 0.925 %程度 | |
LINEスマート投資 | 預かり資産 | 0.50 ~ 1.00 % | |
楽ラップ | 預かり資産 または 成果報酬 | 最大0.715% または 0.605% + 運用益の5.5% | 固定型と成果報酬型あり |
digiPortfolioの運用
digiPortfolioはアルゴリズムとDBSの投資専門家により運用されると説明されています。
一般のロボットアドバイザー系投資がリスクとリターンのアルゴリズムだけで運用されるのに対して、四半期ごとの専門家によるマクロ経済の分析結果も投資内容に反映されていくのが特徴と言えます。
Asia PortfolioとGlobal Portfolioの中で、3つのリスクレベルを選ぶことができるようになっていて、投資対象を自動的に調整する事ができます。
リスクレベルには、投資内容を理解しやすいように名前がつけられています。
- リスクレベル2: Slow n Steady = ゆっくり安定
- リスクレベル3: Comfy Crusin = 快適な巡航速度
- リスクレベル4: Fast n Furious = スリル満点
Asia Portfolioの内容
Asia Portfolioの内容は、リスクレベルとロボットと投資専門家の判断によって、四半期毎に組み込むETFと割合が変化します。選択される銘柄は、日本以外のREITやアジア各国のインデックスETFとなっています。
リスクレベル | 組込銘柄 | 株式 | 債券 | 現金 |
2 : Slow n Steady | 5つのETF | 17% | 78% | 5% |
3 : Comfy Cruisin | 6つのETF | 52% | 43% | 5% |
4 : Fast n Furious | 6つのETF | 77% | 18% | 5% |
Global Portfolioの内容
Global Portfolioの内容も、リスクレベルとdigiPortfolioの判断によって組み込むETFと割合が変化します。選択される銘柄は世界に分散されて、若干リスクも高めなETFが組み込まれます。
その時々によって組み込まれる銘柄や割合は変わってくるようですが、高リスクの物でもS&P500や日本大型株のインデックス型ETFが選択されているようです。
リスクレベル | 組込銘柄 | 株式 | 債券 | 現金 |
2 | 5つのETF | 17% | 78% | 5% |
3 | 8つのETF | 52% | 43% | 5% |
4 | 8つのETF | 77% | 18% | 5% |
2020 3Qの運用結果
digiPortofolioによる2020年3Qと年間の運用結果を見てみましょう。
Asia Portfolio
新型コロナの流行を受けてアジア圏の経済が低迷しているため、年間での資産の成長はほぼ無いか若干のマイナスとなっています。3Qは株価の回復に伴いリスクレベルの高いポートフォリオほど運用結果がプラスとなっています。
株価下落時には債券の比率が高いリスクレベル2の方が損失を抑える事ができているようです。
リスクレベル 2 | リスクレベル 3 | リスクレベル 4 | |
2020 3Q | 1.1% | 2.7% | 3.9% |
2020 1Q – 3Q | 0.2% | -0.2% | -0.4% |
Global Portfolio
世界株式、特に米国株式のETFを組み込んでいる事が多いGlobal Portfolioの方が、コロナからの回復により運用結果がプラスとなっています。
リスクレベルが低い方が年間の運用成績が良いというのが面白いです。
リスクレベル 2 | リスクレベル 3 | リスクレベル 4 | |
2020 3Q | 2.2% | 4.4% | 6.0% |
2020 1Q – 3Q | 4.0% | 3.5% | 4.0% |
digiPortfolioまとめ
DBS銀行のdigiPortfolioは一任型のロボアドバイザーと投資専門家による金融商品で、ある程度リーズナブルな手数料でお任せな投資をすることができそうです。
投資成績という面では、自分でインデックス型のETFや投資信託を組み合わせた結果とそこまで差は無いように見えます。
投資するに当たって最大の問題は、DBSに口座を開く事でしょう。口座開設にはシンガポールにあるDBS店頭まで出かけていく必要があります。日本在住だと、コロナの状況下ではなかなか難易度が高いと言えます。
DBSに口座を開くのが面倒!という場合には、ネット証券などで時価総額加重平均型で全世界に分散投資するETFや投資信託を購入するのが良いと思います。
iDeCoやNISAで投資をするならネット証券がおすすめです。
コメント
ありがとうございます。
はやりそうなのですね。
8ヶ月定期の繰り返しなので、もっと長く預けられたらいいのになーと。
新規の預入は8ヶ月以下のみが可能で、9ヶ月以上の定期預金は以前に契約した定期預金のロールオーバーのみ受け付けている。
ということのようなので、以前に9ヶ月以上の定期預金をしていないのであれば、出来ないのではないでしょうか?
はじめまして。
シンガポールで働いていた時の口座を残したまま今現在日本に住んでいます。
こちらのサイトのような運用方法すごく為になり、参考にさせていただきます!
もしおわかりであれば、下記の意味を教えていただけませんか?
(DBSの定期預金してるんですが、8ヶ月以上預ける設定がよくわかりません…)
We will be accepting new placements for tenors 8 months and below. Interest rates for tenors of 9 months and above are applicable only to rollover of existing placements at the same tenor.