外資系企業のESPPは税金関係が面倒だった

生活関連

こんにちは、老後の自分年金(目標 4,000 万円)を作るために、個人型確定拠出年金(iDeCo)とつみたて NISA をあわせた投資をしている中小企業勤務の山丘はなお(40 代)です。

日本の上場企業には従業員持株会といって、毎月の給料を積み立てて会社の株式を社員が購入する制度があります。多くの従業員持株会には会社から数%程度の補助が出るため、長期での積立による財産形成を手助けすると言われていますが、売却時には手続きやインサイダー取引等面倒な事が多い上に、積立投資したくなるような日本企業で働くことができる人は限られていると思います。

外資系企業の従業員持株会的な仕組み = ESPP

ESPP = Employee Stock Purchase Plan は、外資系企業での従業員持株会的な仕組みで、毎月の給与から一定額を積み立てし、所属している企業の株価を実際の市場の価格より安く購入する事ができる制度です。どれくらい割引で購入できるかは、企業からの補助の割合によります。

ESPPのメリット

  • 毎月為替手数料なしで外貨を積み立てられる
  • 会社からの補助を使って、市場価格より割安に所属企業の株を購入可能

日本企業の従業員持株会でメリットにあげられる割安に株を購入できる以外に、外資系企業だと為替手数料なしで、毎月外貨を積み立てする事ができる。というメリットもあります。

株価の値上がりや配当以外にも、円高の際にESPPを始めて為替が円安に振れる事で為替差益が得られる可能性もあります(反対に円安の時に始めて円高になれば為替差損となります)。

ESPPのデメリット

  • 積み立て資産は為替の影響を受ける
  • 三年毎にForm W-8 BEN をIRSに提出しなければならない(本社がアメリカの場合)
  • 買った株はすぐに売れない
  • 確定申告で納税しなければならない事が多い(購入時の差額、配当、売却)
  • 売却時の送金手続きが面倒

ESPPは従業員持株会よりも確実に面倒な事が多くなります。

デメリット 1. 積み立て資産は為替の影響を受ける

海外の企業の株を購入することになるので、給与として受け取った日本円を本社がある国の通貨変えなければなりません。この為替両替は会社がやってくれるのですが、積み立てた資産は為替の影響を受けるようになります。

円安の時に売ろうとれば、為替差損となる場合もあります。

もう一つ面倒なのは、確定申告のためにESPPの積立と売買時の為替レートを自分で記録しておく必要があります。私がESPPをしていた時は、為替レートはTTMで、みずほ銀行の為替ヒストリカルデータを使用していました。

デメリット 2. 三年毎にForm W-8 BEN をIRSに提出しなければならない

本社がアメリカにある会社の場合、米国のIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)に対して、三年に一度 Form W-8 BENという米国非在住者である書類を提出する必要があります。

この書類は日米租税条約によって、米国企業から給与を受け取る際に米国での源泉徴収が不要となるものです(米国で納税しなければ良くなるだけで、日本では所得税と住民税を納める必要があります)。

これは会社のシステムによりますが、オンラインで申請する事ができるため、それほど面倒ではありません。

デメリット 3. ESPPで買った株はすぐには売れない

市場価格から割引して購入した株は、購入後1年以上経ってQualifiedと呼ばれる状態にならないと売れません。正確には売れるのですが、売った場合には会社補助による割引価格で購入したことにできません。

デメリット 4. 確定申告で納税しなければならない事が多い

証券会社で外国株を購入する場合よりも、確定申告で納税しなければならない事が多くなります。

大切なのは、一般口座での取引のように、毎回の購入履歴・購入単価・為替を自分で記録しておく事です。

まず、配当が出た場合は特定口座のように自動的に源泉徴収してくれません。上場株式等の配当として分離課税されるので、自分で申告して納税しなければなりません。外国通貨になっているため、配当が出たタイミングで為替の計算をする必要があります。配当は年4回程度なので、それほど面倒ではありません。

次に、会社の補助で安く購入できた分を給与として申告して納税しなければなりません。割引分をまとめて給与所得として計算します。ESPPで購入するたびに株価と為替を記録しておいて、確定申告で給与として申告します。

最後に、売却した際にも確定申告で納税する必要があります。ESPPでの購入価格・株数を記録しておき、売却価格との差額を計算して利益が出た場合は納税する必要が出てきます。売却時に手数料が必要な場合は、この手数料を含めて計算します。

確定申告をしなかった場合、税務調査で納税漏れを指摘されて追加納税という事になります。会社から税務署には会社補助に関する情報が渡っているらしいので、後から面倒な事になりたくない場合はちゃんと確定申告する必要があります。

デメリット 5. 売却時の送金手続きが面倒

ESPPは大抵、海外の証券会社が購入後の手続きを代行しています。株を売却した後に日本の口座へ送金しなければなりません。海外送金は送金時の手数料に加えて、さらに日本の銀行での外貨受け取り時にも数千円の受け取り手数料が必要となります。

また、受け取りも国内の銀行振込のように自動的には行われず、マネーロンダリング対策のために本人確認や書類の提出が必要になる場合があります。SBI銀行では振り込まれる前にメールがあり、メッセージで本人の送金である事、送金の目的などを回答する必要がありました。

さらに、相手の証券会社が振込では対応できない場合は小切手が送られてくる場合があります。手続きのミスで少額の小切手が送られてきたのですが、日本の銀行で換金すると高額の手数料がかかり、数千円程度の小切手では支払う手数料の方が高くなってしまいました。結局その小切手は換金することなく、ただの紙くずになってしまいました。

ESPPはやった方が良いのか?

購入した勤務先の業績が下がれば株価も下がり、外資系企業であれば自分も解雇の対象となる可能性が高い上に確定申告の面倒など、色々とデメリットの多いESPPですが、私はやって良かったです。

私の場合、ESPPを始めたタイミングがしばらく円高が続いた時だったので、良い為替レートで米ドルを定期積立する事ができました。売却後は米ドルのままSBI銀行経由でSBI証券へ入金し、投資資金としています。ESPPで投資をしていた期間の為替レートと比べて最近のレートは、買い付け時よりも円安になっているため含み益となっています。

確定申告が面倒でも、やってみると税金の仕組みなどがわかってこれはこれで面白かったです。買い付けや為替両替が発生したタイミングでマメに記録をつけていれば、自社株1銘柄だけなのでそれほど大変でもありませんでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました